AVISTALのVision
現代世界は社会的な繋がりが希薄になり、個が個別に自由に動く世界観が広がる一方、
言葉と歴史を共有する者同士の協働的繁栄を願う伝統的な世界観も残ります。
私たちAVISTALは個人主義的な価値観と伝統的な価値観を両睨みして世界観を形成します。
AVISTALが眼差しを向ける方向性
私たちは、企業の事業環境が今後どのように推移していくかについて、社会に流布する見方とそれを批判的に見る引いた見方で観察します。その趨勢が善いか悪いかの判断を傍において、社会全体の状態と力学の理解をもとにして真相を掴むことを目指します。見出した見通しは、理念との対比において〈意味〉を捉えます。未来に起こりうる状態が望むべきものかそうでないかは、一義的な希望や批判でなく、理念との距離感において初めて〈意味〉を持つと考えるからです。
〈方法〉
■ 「現代世界の4つの底流」が少なくとも過去数十年の社会を形作ってきた力学として把握します。
■ 「反動としての地殻変動」は、反作用として現在足元で起きている混沌の源を洗い出します。
■ 「今後の事業環境」は、これらの力の相互作用の結果現れる新しい景色について見立てます。
■ 「理念との距離感」は、こうした近未来の見通しについて当社〈理念〉から見た〈意味〉を整理します。
現代世界の4つの底流
近代的な機械化は産業革命ほど古く、グローバル化と金融化は中世の大航海時代まで遡ることができ、最近30年間に世界の流れを形成しました。人間の分裂は機械化と同じほど古く、またこの30年間に大いに進みました。
1
グローバル化
ヒトやカネやモノや情報を地理的・社会的・情報的境界を超えてより遠くまで届け定着させる。隔絶した「場」が統合されて分業を可能にし、また市場アクセスを拡大するほど、各「場」の裁量は益々失われる。
2
機械化
元来人間が行なってきた活動を機械 (道具と工場を経てデジタル)に代替し、より多くより早くより安く生産・流通を可能にするが、人間の仕事を作用から指示に後退させる。機械の利用者・受益者は益々無産化し、開発者は益々先鋭化する。
3
金融化
形あるもの (経済的実体たる企業や資産やリスク、社会的実体たる人的繋がりや家族など) を経済的価値に還元し、融解・分解して経済内に再配置する。経済効率性の向上に寄与するが、同一形式への収斂を促し多様な文化と歴史を損なう。
4
人間の分裂
近代以降、産業の分業に端を発して専門分化した人間は、専門の狭い領域に閉じ籠る存在となった。今日、専門化は益々狭く多岐に渡り先鋭化するが、生活者としての人間は経済や社会の一側面で圧力や強制を請け、あるがままの人間として調和することの難しさに益々直面する。
現在起きている地殻変動
近年、これらの底流が生む不協和に反動が起きています。
グローバル化への反動
創出した富が社会全体に行き届かず、国内創出した富は所有権の名の下で国外流出する事態への反動が、旧来的な「壁」への回帰と、内と外の明確な区別の形をとって現れる。
機械化と金融化の停滞
個人と企業の経済的自由の拡大は今日停滞し、本格的な変革が現れなくなっている。デジタル化やM&Aという生産性向上策は、完全浸透に至るまでの漸次的改善は見込めるが、効果は減衰し生産性向上に寄与しづらくなる。
- 機械化はプロセスを改善するが、究極の目的は飽食により達成され、高付加価値化したプロセスは益々コスト増大している。
- 金融化はあらゆるものを〈モノ化〉し再分配するが、〈モノ〉に溢れ〈脱魂化〉した社会で人間が生成の力と進むべき方向を失う。
人間の分裂からの引き戻し
グローバル化と機械化と金融化が人間の置かれた状況を改善するという漠然とした期待が裏切られ、それを是正する動きが現れている。
- 手足たる生産を取り戻す動き
- 上場廃止して経営裁量を取り戻す動き
現在の世界では、長くうねり続けた底流が逆流し混沌を生んでおり、今後どう均衡するか見通しづらいですが、混沌が晴れた時にこれまでと異なる新しい景色が現れることが予想されます。

AVISTALは視野を広げ深淵まで目を向けます
今後のビジネス環境に関する信念(現時点版)
〈なめらかな世界〉は〈摩擦ある世界〉になる
これまでの30年強は世界中で〈なめらかな世界〉の実現が追求されてきた。その前提にあった米国海軍の世界展開は、今後急速に米大陸へ収縮していく。
国際貿易の質的・量的な障壁は今後益々高まり、輸送上のリスクが増大する。国際金融では、短期・長期ともに豊富だった流動性が、増大する融資ニーズとリスクへのヘッジに充当されて干上がり、金利高騰を呼ぶリスクが高まる。
産業の牽引力と重力は分散から集中へ、
新興企業主体から大企業主体へ移行する
高金利が継続する環境となり各種ファンドの運用条件が悪化し、スタートアップ業界やプライベートエクイティ業界は不活性化する。キャッシュ創出力のないスタートアップは流動性の確保が困難になり、財務体力が弱まる。
CVC等に回されていた大企業の資金は自社事業に融資と共に活用され、財政政策による追い風に乗って大企業の事業が主体的に産業を牽引する。
分権化され民主化された枠組みから、
集権化し権威化された枠組みになる
この30年に続いた規制緩和や自由化の波は逆転し、引き締めるところで引き締められるとともに、政策的な重点産業に財政政策が充当される。
単なる自由化は利をもたらすより自国市場を食い物にすると見なされ、リベラルより国策的産業振興を支持する機運が高まって、国家間・地域間で産業振興の競争になる。
価値が相対化された世界から、異なる価値体系が棲み分け衝突する世界へ移行する
皆が効率化や生産性を追う牧歌的世界は過去のものになる。米国は米大陸に閉じ籠り、近隣国と孤立化する〈新アメリカ帝国〉の下で自国優位の主義を牽引する。
米国の緩い管理の下で欧州と日本はそれぞれロシアと
中国の自国優位な論理の風に振り回されるが、中露両国ともに著しく低い出生率により加速度的に内政が逼迫し、政情不安定化する。
米国が抜けた世界で、これまで米国が主導した自由市場や開放的資本主義という価値観が後退するが、日欧ともに新しい価値の方向性を見定められない価値的空白が現れる。
人間の分裂から頭手足の引き戻しへ
機械化を進める人々が過程に工芸的喜びを見出し、機械の利用者や享受者が感受性への刺激を失う傾向は依然として続く。頭と手足を取り戻すことによって国家が自立を取り戻し、「壁」の内側の総合的な豊かさを獲得しにいく試み、および手足を自ら使うという精神〈こころ〉と技〈わざ〉を取り戻し磨く試みが広がっていく。
手足の帰還を合理的とするため、価値と仕組みが是正されていく。「人間の分裂」を呼んだ経済合理性だけの追求は緩やかに否定に寄り、それを上回る固有性の論理が価値として掲げられ、その下で実際的な各種の障壁が正当化される。これは新自由主義的な市場の統合から、緩やかな市場の分断につながる前傾の点と整合する。
(総括)近未来の見通しはどうなるか (2026年版)
生存のための自己防衛が進んでいくシナリオが想定できます。これまでのグローバル世界が各国の相互依存を高めて生存能力を低下させた反動として、今その能力を取り戻そうとする反作用が極大化すると見込まれます。緩やかな押し戻しとしての反作用は、慣れ親しんだグローバル全体での効率的な世界秩序との反発をしながら、落とし所を探っていくように進展する可能性が高いです。その着地点は、民主制下の社会で中間層の回復するところまでと見るのが妥当です。ただし、中間層の回復に至るまでの道のりが穏やかであるか、急進的であるかを見通すことは困難です。歴史を参考にすれば、急進的に向かう可能性はいつもあり、一度そちらに振れると後戻りするよりより過激に急進的に進む可能性があります。
この「調整過程」で留意すべきことは、反作用が力による利権の奪い合いとして現れ、公正なルールの下での競争という幻想としては現れないということです。狡猾に奪取した者が得をして、公正性を謳うだけの者は失う可能性があります。そうであるからこそ、急進的に触れやすい土壌があります。社会は〈理念〉では動かないことを認識することになります。弱いものは力ある者に頼り、孤立して翻弄されるより団結して生存しようとしますし、力を持つ者にさらに力が集まると言えます。
しかし、絶大な力を持つ者は現れない可能性が高いです。局所ごとに覇権を競うコンテストが展開し、特に、地の情勢を読むことが得意な集団と不得意な集団の間で情勢理解に差が生ずると見込まれます。情勢理解は囲い込まれ、誤情報が正確な情報を撹乱し、本当の情報(インテリジェンス)は不均等にしか配分されないでしょう。
資本は、利潤機会を求めて世界を自由に動き回ることはより困難になると思われます。情勢理解に富む資本は的確に利潤機会を追い、国家を味方につけて利潤機会を政治的に創出することになります。情勢理解に劣る資本は誤情報に惑わされて世界を彷徨うでしょう。全体として収益率が低下した資本はより有利な利潤機会を操作しうる国家権力に擦り寄っていき、資本と国家は一体化すると思われます。
国内経済は、自国経済を循環させる限りにおいて好循環に入る一方、より大きな供給網は正当化する力を減らしていく可能性があります。手足も頭も国内に引き戻され、国外の他者に依存したまま資本蓄積しようとする利己的な動きは次第に許容しづらくなっていくかもしれません。経済活動を始めとして国内回帰していく流れの中で、資源から生産に至る重要な工程を確保し得ない場合には緊張が高まることがありえます。
理念とVision(見通し)の間の距離感
人間と社会の基本的生活を維持する経済・政治・社会・文化の諸活動が国内で完結し得ない状態、つまり、国外依存が著しいにもかかわらず供給確保が一層困難になる状態は、自立を求める〈理念〉から見れば、著しいGapとして現れます。
海外に生産資源を持って〈頭脳〉のみ国内に維持する状況も、収奪や交易環境の悪化によって容易に再配置できない可能性があり、多分なリスクを内包します。世界の供給網に乗り、国外の生産・流通に依存した状態は、個別企業の利潤追求として正当化できても、国内活動を空虚化して〈理念〉との乖離を大きくしてしまします。
私たちは
「絶対・超越・崇高の〈理念〉を仰ぎ見て〈意思〉を発見し、
有効な〈方法〉を見定めて行動する」人間活動を考えます